1. 業務の名前を並べる

まずは担当者が普段行っている仕事を、箇条書きにします。日次・週次・月次の定常業務だけでなく、問い合わせ対応やトラブル時だけ発生する作業も含めます。

「月次の在庫確認」「問い合わせの一次対応」「支払データの確認」のように、後任者が一つずつ扱える単位にすると整理しやすくなります。細かい作業手順は、まだ書かなくても構いません。業務名・実施頻度・引き継ぐ相手・期限を簡単な一覧にすると、優先して聞くべき仕事を選べます。

2. 担当者に6つの質問をする

  1. 何がきっかけで始まる仕事ですか?依頼、日時、通知など開始条件を整理します。
  2. 最初に何を確認しますか?使う画面、資料、前回の記録を洗い出します。
  3. 終わったと判断できるのはいつですか?成果物や完了条件を確認します。
  4. 普段と違うときはどうしますか?例外対応や判断基準を聞きます。
  5. 誰に確認・承認を依頼しますか?通常時と不在時の連絡先を分けます。
  6. 過去に困ったことはありますか?見落としがちな注意点を把握します。

一度にすべて聞き切ろうとせず、回答から新たに見つかった疑問を次の質問へつなげていくと、表面的な手順だけで終わりにくくなります。

最初の聞き取りを進める場合の一例

最初の打ち合わせを30分程度に区切るなら、次のように配分できます。あくまで進め方の例なので、業務の複雑さや担当者の都合に合わせて調整してください。

  1. 最初の5分:対象業務と期限を確認今回引き継ぐ範囲を一つに絞り、後任者にいつ必要かを確認します。
  2. 次の15分:実際の手順を聞く直近の対応を振り返り、通常の進め方と判断に迷う場面を具体的に聞きます。
  3. 最後の10分:確認待ちを整理参照すべき資料、関係者、未確認事項の担当と期限を記録します。

この時点で業務全体を確定させようとせず、次回確認する項目を決めて終えることが重要です。

3. 回答を「分かったこと」と「未確認」に分ける

聞いた内容をすぐに完成版として扱わず、回答の原文や参照元を残して整理しましょう。誰の回答に基づく情報か、まだ誰も確認していない内容かを区別できることが大切です。

前任者から聞き取った内容(例)

月末に在庫一覧と入出庫履歴を照合する。差異が出たら調整記録を確認する。

次に確認すべき内容(例)

差異が解消しない場合の処理保留条件と、担当者不在時の確認先。

この例は架空のものです。聞き取っただけの情報は「前任者の回答」として残し、会社の正式なルールとして確認済みかどうかは別に記録しましょう。

4. 最初の文書を後任者と確認する

整理した内容を後任者に渡し、実際の作業を想像しながら読んでもらいます。「その資料はどこにあるか」「誰に承認を求めるか」といった質問が出れば、文書を改善するきっかけになります。

資料がなくても会話から始められますが、後から根拠となる資料が見つかったら、回答と照合して更新することが重要です。推測や未確認の内容を、確定した事実のように書かないようにしましょう。

前任者に聞けない場合は

退職済みなどで前任者に聞けない場合は、確認できる資料・作業記録・関係者の話を区別して集めましょう。例えば「記録で分かる手順」「関係者の説明に基づく判断」「まだ確認できない例外」の3つを分けて記録します。根拠が足りない項目は暫定扱いとし、必要な承認を経て運用へ反映してください。

小さく始めるなら、まず一業務

最初は一つの業務について「目的・通常手順・判断基準・確認先」を記録するだけでも前進です。引き継ぎを、資料を一度作って終えるイベントではなく、質問と確認で整えていくプロセスとして考えると取り組みやすくなります。書き出した内容は、引き継ぎ資料の記入ひな形に整理することもできます。